デンマークの就労ビザが16カ国向けに緩和、2027年から年収32万2000クローネで申請可能に

デンマーク就労ビザ、16カ国で緩和決定

デンマークが新しい就労許可制度を導入、2027年1月に開始

デンマーク議会は2026年9月4日、対象16カ国の労働者を対象にした新しい就労許可制度の法案を可決しました。

この制度は「労働協約に基づく企業スキーム(Collective Agreement-Based Business Scheme)」と呼ばれ、認定を受けた企業だけが利用できることから「認定企業スキーム」とも呼ばれています。

制度の開始は2027年1月1日です。具体的な運用ルールは、デンマーク国際採用・統合庁(SIRI)から施行前に、追加のガイダンスが示される見込みです。

対象となる16カ国

新制度の対象となるのは、次の16カ国の国籍を持つ人です。

  • イギリス
  • アメリカ
  • シンガポール
  • 中国
  • 日本
  • カナダ
  • オーストラリア
  • インド
  • ブラジル
  • マレーシア
  • モンテネグロ
  • セルビア
  • 北マケドニア
  • アルバニア
  • ウクライナ
  • モルドバ

日本国籍の人もこの16カ国に含まれています。

必要年収はいくらか

新基準は年32万2000クローネ

新制度における最低年収の基準は、2026年時点の水準で32万2000デンマーク・クローネです。

1クローネ24.3円で換算すると、日本円でおよそ782万円にあたります。この金額は物価や賃金の変動にあわせて毎年見直される可能性があるため、申請時期の最新基準を確認する必要があります。

既存の年収要件との比較

デンマークにはすでに、年収を基準にした就労許可制度として「ペイリミット制度」があります。2026年時点の基準額は、次のとおりです。

  • 通常のペイリミット制度:年55万2000クローネ(約1,341万円)
  • 補足的ペイリミット制度:年44万6000クローネ(約1,084万円)

新制度の32万2000クローネは、通常のペイリミット制度と比べておよそ23万クローネ(約559万円)低い水準です。年収要件が大きく下がることで、これまで対象外だった業種や職種でも、就労許可を得やすくなる可能性があります。

対象となる雇用主の条件

新制度を利用できるのは、次の条件を満たす企業に限られます。

  • 該当する労働協約の適用対象であること
  • デンマーク国内で2年以上事業を継続していること
  • デンマーク国内でフルタイム従業員を10人以上雇用していること
  • SIRIから認定を受けていること

求人のポジション自体も、フルタイム雇用であり、該当する労働協約の対象であることが条件です。給与はデンマークの銀行口座に振り込まれる必要があります。

失業率に応じた「アンエンプロイメントブレーキ」

この制度には、デンマーク国内の失業率が一定の水準を超えた場合に、制度の利用を制限する仕組みが組み込まれています。海外からの採用に頼りすぎず、国内の労働市場を優先する狙いです。

複数の報道によると、季節調整済みの失業率(直近3カ月の平均)が3.75%を超えると、新規の申請受け付けが停止される仕組みです。1年に1度だけ確認されるものではなく、申請のたびに直近3カ月分のデータをもとに継続的に判定される点には注意が必要です。なお、32万2000クローネという年収基準そのものは、既存のペイリミット制度と同様に毎年1月1日に見直される見込みです。正式な基準値はSIRIの施行規則で確認することをおすすめします。

制度を使えるのは誰か

この制度は雇用主が主導する仕組みです。対象16カ国の国籍を持っているというだけでは、就労許可を得ることはできません。

申請者には、次のすべてが必要です。

  • フルタイムの求人が決まっていること
  • 雇用主がSIRIの認定を受けていること
  • 給与が新基準(32万2000クローネ)を満たしていること
  • ポジションが該当する労働協約の対象であること

日本にお住まいの方、検討している方への影響

日本国籍の人にとって、デンマークで働く選択肢が一つ増えることになります。ただし、今回の制度は既存の就労ビザ制度を置き換えるものではなく、新しい選択肢が追加される形です。

対象となる職種のリストや、SIRIへの具体的な申請手続きについては、2027年1月の運用開始が近づくにつれて、追加情報が公表される見通しです。

制度の詳細が固まる前に転職や移住の計画を立てる場合は、移民コンサルタントや代理店の説明だけに頼らず、デンマーク当局の公式情報を確認することが大切です。

まとめ:正式な運用開始は2027年1月、詳細は今後の発表待ち

デンマークは2027年1月から、対象16カ国向けに年収32万2000クローネという、既存制度より低い基準の就労許可制度を導入します。日本もこの16カ国に含まれています。

ただし、対象職種や失業率に応じた制限の具体的な基準など、細かいルールはまだ確定していません。デンマークでの就労を検討している人は、SIRIからの続報を待ってから具体的な準備を進めることをおすすめします。