フォルケホイスコーレ留学のリアル|大学生がデンマークで得た「広く浅く」の価値【体験談インタビュー】

フォルケホイスコーレへの留学を検討しているけれど、実際のところどうなの?そんな疑問を持つ方に向けて、2025年1月にデンマーク・ノーフィンスホイスコーレへ留学した大学生、まなさんにインタビューしました。

留学を決めた理由から、授業のリアル、言語の壁、帰国後の就活への影響まで、飾らない本音を聞いています。

フォルケホイスコーレを知ったきっかけ

まなさんがフォルケホイスコーレに出会ったのは、高校時代のことでした。

「通っていた高校がインターナショナルハイスクールで、その卒業生がエフタスコーレで活動されていたんです。交換留学先がデンマークだったこともあって、留学前の授業でデンマークについて調べる機会があって、その時にフォルケホイスコーレを見つけました」

本来なら高校時代にデンマークへ渡航する予定でしたが、コロナ禍によりオンライン留学に変更。ホームステイや相互交流の機会もすべてなくなってしまい、「全然楽しくなかった」と当時を振り返ります。

コロナがなければ行けていたはずの留学が頭に残り続けたことが、大学での行動につながっていきます。

IFASでの活動|留学前に「情報を届ける側」になった

ノンフュンスホイスコーレ学校内

大学に入学したまなさんは、フォルケホイスコーレの情報を日本に届けることを目的とした団体「IFAS」に参加します。

「フォルケについての情報が全然なくて、でも留学したい人はいる。
だから自分自身、情報を得たいという気持ちと、イベント企画ができるというのを見て、一石二鳥だなと思って入りました」

明治大学で30名を集めたイベント企画

まなさんが特に力を入れたのが、対面型の留学説明イベントの企画でした。後から加入した、別のフォルケホイスコーレへ行く予定だった学生と2人でタッグを組み、約2ヶ月という限られた期間で準備を進めました。

「イベント企画って何も知らない状態からのスタートだったんです。企画の立て方から準備の仕方、当日の細かい作業まで、全部手探りで。とりあえずやってみるしかないという状態でした」

最大の壁は、登壇者の確保でした。リアルな留学体験談を話してもらうため、フォルケへの留学経験者をゲストとして招きたいと考えていましたが、知り合いに経験者がいません。

「SNSで留学体験を発信している人を見つけて、片っ端からDMを送りました。こんなイベントをするので、体験談を話してもらえませんかって」

地道なアプローチが実を結び、当日は明治大学で約30名の参加者を集めることができました。

「大変だったけど、めちゃくちゃ楽しかったです。あの経験があったから、留学先でも初対面の人に話しかけることへの抵抗がなくなった気がします」

ノーフィンスホイスコーレを選んだ理由と、留学までのタイムライン

ノンフュンスホイスコーレのガーデンと虹

学校選び|IPCとの比較

留学先の候補は主に2校でした。ノーフィンスホイスコーレとIPC(International People’s College)です。

「iFASのサイトがフォルケホイスコーレを一覧でまとめていて、そこからノーフィンスのホームページを見つけました。Momoyo先生が担当するSOSUというコースが日本語で行われていて、教育や福祉を多く学べるというのが決め手でした」

IPCにも同時に応募しましたが、ノーフィンスから先に合格の連絡が届いたため、そちらへの入学を決めました。

「IPCはまだ3ヶ月かかりますという段階だったので、ノーフィンスが決まった段階でIPCには辞退の連絡を入れました」

留学を決めた本当の理由

留学の意思を固めたのは、大学3年生が始まる直前でした。

「大学3年生になる時に、このまま卒業するのはもったいないなって思って。過去に不登校の経験があって、ずっと自分と向き合える環境に行きたいという気持ちはあったんです。コロナで行けなかったのもありましたし、急いで動かないとと思って調べ始めました」

休学のタイムライン

フォルケホイスコーレへの留学は、大学の制度上どのように組み込んだのでしょうか。

  • 2年生の冬(2024年1月頃):ノーフィンスへの留学を決意・応募
  • 3年生(2024年4月〜):iFASでのイベント企画活動、通常通り大学に通う
  • 3年生修了:担当ゼミの先生の配慮により、3年生の単位をすべて取得
  • 2025年1月:ノーフィンスホイスコーレへ(本来の4年生の期間を休学)
  • 帰国後:改めて4年生として復学・就活へ

「ゼミの先生がとても優しい方で、途中からでも3年生の単位は全部あげるよって言ってくれたので、3年生を一通り過ごしてからフォルケに行くことができました」

学校生活のリアル

乗馬クラス

印象に残った授業トップ3

留学中に受けたコースの中で、特に印象深かったものを3つ挙げてもらいました。

1. 乗馬 「日本ではなかなかできない経験なので、まず選びました。純粋に楽しかったです」

2. SOSU(Momoyo先生担当) ノーフィンスホイスコーレには、日本人講師・Momoyo先生が担当するSOSUというコースがあります。福祉や教育をテーマに扱うこの授業は、日本語で行われるため、内容を深く理解できると言います。

「日本語でそのまま聞けるから、言葉の意味をそのまま受け取れるんですよね。理解のしやすさが全然違いました」

3. パーソナルリーダーシップ 「アイデンティティや自己理解について英語で対話する授業で、最初と最後では対話のスムーズさが全然違って、自分の成長を実感できました。日本語でも難しいようなテーマを英語で話せるようになったのが、一番の収穫だったかもしれません」

苦労した英語での対話授業

一方で、最も苦労したのが英語で深い対話を求められる授業です。先生が問いを投げかけ、参加者全員で話し合っていくという形式で、リスニングへの苦手意識が大きく影響しました。

「自分の言いたいことは話せるんですけど、先生が言っていることをそのまま理解できなくて」

先生の話し方が回りくどい傾向があり、内容自体も哲学的に難しかったとのこと。

「最初のうちはずっと『何をしたらいいの?』という状態が続きました。ただ最後の方になると、流れも分かってきて、苦手意識がかなり薄れていました。留学の後半から振り返ると、あの苦労が一番成長につながった気がします」

ルームメイトは日本人|最初の戸惑いと最終的な評価

ルームメイトは日本人の女性でした。

「最初は少し意外でした。デンマークに来たので、海外の方と一緒に生活するのかなと思っていました。」

ただ、最終的には「すごくよかった」と振り返ります。

「外でいやなことがあっても、部屋に帰ると安心できる場所になっていたんです。日本語で話せるし、気持ちも楽になって。ルームメイトがとてもいい子だったので、結果的には彼女との出会いは私の財産になりました。もし次にフォルケ留学する機会があれば、異なる国の方との共同生活を経験してみたいです!」

なお、まなさんが参加したノーフィンスのタームは、学校側から「一番モチベーションが低いターム」と事前に伝えられていたそうです。それでも、日本人参加者は積極的に授業に参加し、対話に貢献していたと言います。

「海外の参加者の中には、自分の気分次第で授業をスキップする子もいて。フォルケに対する思いが本当にそれぞれで、ただのギャップイヤーで来ている子もいれば、友達を作りに来ているのがメインという子もいて。最初はちょっと戸惑いましたね」

帰国後|フォルケの経験を就活にどう活かしたか

道路で疲れ果てたまな

自己分析が深まった

共同生活という環境が、自分自身を客観的に見つめ直すきっかけになりました。

「一歩外に出たら常に誰かと一緒という生活の中で、衝突が起きた時に『自分ってこういうタイプなんだ』と気づくんですよ。一人の時間よりも人と一緒にいる方が好きというのは分かっていたつもりでしたが、改めて実感できました」

この自己理解は、帰国後の就活に直接役立ちました。

「就活の適性検査で性格診断みたいな項目があるじゃないですか。あれを書く時、フォルケの経験を思い出しながら書いていたなって。自分のことを言語化するのが、留学前より圧倒的にスムーズになっていました」

面接でのエピソードとして

面接では、留学時代に取り組んでいたミュージッククラブについての話を積極的にしたと言います。フォルケで得た「初対面でも物怖じしない力」や「多様な価値観への適応力」は、エピソードとして語りやすく、かつ他の就活生と差別化できる経験でもあります。

フォルケホイスコーレ留学の本質|「広く浅く」に価値を感じられるか

フォルケホイスコーレは、何かを深く極めるための場所ではない。広く浅くいろんなことにチャレンジできる環境に価値を感じられるかどうか、それがすべてだと思います。

留学を終えたまなさんが最も強調したのは、フォルケホイスコーレという場所の本質についてでした。

「フォルケって、何かを深く極めるための場所じゃないんですよね。広く浅くいろんなことにチャレンジできる環境があって、それに価値を感じられるかどうかだと思います」

実際に、「もっと専門的に学べると思っていた」と失望するケースも目の当たりにしました。特に、福祉を深く学びたいという明確な目的を持って参加した学生が、「思ったより学べなかった」と感じていたそうです。深く学ぶことをゴールに設定してしまうと、フォルケはその期待に応えられない場所になってしまうのです。

フォルケが輝くのは、「いろんなことに触れながら、自分が何に興味を持つかを探る」過程においてです。まなさん自身も、乗馬、教育・福祉、自己理解と対話、まったく異なるテーマを同時に経験したことで、自分の興味の輪郭が見えてきたと言います。

「英語を使っていろんな人と対話を楽しんだり、考えたりしたいという人にはすすめたいです。でも何かを本当に極めるために行く場所ではないと思います。学びをゴールにしていたら、だいぶ違う場所に感じると思う」

「社会人になってから行けばよかった」という本音

留学を経験した今、一つだけ心残りがあると語ります。

「大学生って時間があるじゃないですか。それがフォルケの生活でも出てしまって、最後の方は正直少し飽きてしまって(笑)。忙しい社会人の時期にふっとフォルケに来たら、環境が変わることのありがたみや、ゆっくりできる時間の価値をもっと感じられたのかなって思うんです」

もちろん、大学生ならではのよさもあります。参加者の年齢が近いため共感しやすいこと、時間に余裕があること、そして「自分と向き合う」経験を早い段階で積めることは若いうちに行く大きなメリットです。

よくある質問(FAQ)

ノンフュンスホイスコーレの庭

Q. 英語力はどのくらい必要ですか?

まなさんのケースでは、話すことは問題なかったものの、リスニングで苦労する場面がありました。完璧な英語力は必要ありませんが、「自分の気持ちを伝えようとする姿勢」は必須です。授業が進むにつれて慣れていくケースがほとんどです。

Q. 日本語が通じる環境はありますか?

ノーフィンスホイスコーレには、日本語で開催されるSOSUクラス(Momoyo先生担当)が設けられています。日本語でデンマークの教育や福祉について学べる環境は、同校の特徴の一つです。

Q. 大学を休学して行けますか?

まなさんは4年生の1年間を休学して参加しました。大学によって制度は異なりますが、担当教員や学務に相談することで対応できるケースも多いようです。早めに動くことがポイントです。

Q. IPCとノーフィンス、どちらがいいですか?

まなさんはノーフィンスに早期合格が出たためIPCを辞退しましたが、判断軸としては「何を学びたいか」と「言語環境の好み」が大きいと言います。日本語で実施されるSOSUクラスで深く学びたい場合はノーフィンス、よりグローバルな環境を求めるならIPCが向いているかもしれません。

まとめ|フォルケホイスコーレ留学はこんな人におすすめ

フォルケホイスコーレ留学は、次のような方に特に向いています。

  • 英語でさまざまな人と対話し、視野を広げたい人
  • 自分自身と向き合う時間を持ちたい人
  • 年齢や国籍を超えた人脈を作りたい人
  • 人生の節目に「休憩」や「リセット」の時間が欲しい人
  • 就活・転職前に自己分析を深めたい人

一方で、特定の分野を深く専門的に学びたい場合は、大学院や専門スクールなど別の選択肢が向いているかもしれません。

まなさんはインタビューの最後にこう締めくくってくれました。

「今でも写真を見返すくらい、本当に素敵な思い出がたくさんできた留学でした。人生をちょっと休憩したいなと思っている人にも、広くいろんなことに挑戦してみたいという人にも、すすめたいです。なるようになるという経験ができる場所だと思いますし、本当に財産になりました。デンマークもすごくいい国ですよ」

広く浅くに価値を感じられるなら、フォルケホイスコーレ留学はきっとあなたの財産になるはずです。


インタビュー協力:西浦真那 Mana Nishiura(2025年1月 ノーフィンスホイスコーレ留学)


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