
「フォルケホイスコーレとは何か?」
語学学校?専門学校?なぜデンマークにあるの?費用は高い?大学生や社会人でも行ける?
フォルケホイスコーレは、日本には存在しない「試験のない成人教育機関」です。
本記事では、
- フォルケホイスコーレの基本定義
- 対象年齢
- 教育の仕組み
- 歴史的背景(グルントヴィー思想)
- 費用の目安
- メリット・デメリット
を体系的に解説します。
フォルケホイスコーレを検討している人が、まず最初に読むべき完全ガイドです。
フォルケホイスコーレとは?
デンマーク発祥の成人教育機関
フォルケホイスコーレ(Folk High School)は、19世紀にデンマークで誕生した成人向け教育機関です。
大学や専門学校とは異なり、
- 学位を取得する学校ではない
- 試験がない
- 成績評価がない
という特徴を持っています。
目的は「資格取得」ではなく、人生のための学び(School for Life)にあります。
筆者はデンマークに行く前に日本の友人に説明するときは「デンマークに幸せとは何かを勉強してくる」っと大雑把に説明していましたが、今目の前にあることに目を向けて自分自身と向き合うことによって自分にとっての幸せ。ちょうど良い生活が何なのか見つめ直す良い時間となりました。
フォルケホイスコーレの特徴
① 試験がない
最大の特徴は、試験が存在しないことです。
- 入学試験なし(応募制&学校によってはインタビューあり)
- 卒業試験なし
- 成績評価なし
学ぶこと自体が目的であり、競争ではありません。
しかし、日本人/外国人生徒のみ英語力の確認のためにオンラインインタビューを実施している学校もあるようです。
筆者はインタビューと聞いて緊張していましたが、担当の先生と英語で雑談するだけでした。オンライン英会話などで人と会話することができる人なら問題ないです。
② 共同生活が基本
多くのフォルケホイスコーレは寮生活を行います。
- 相部屋またはシングルルーム
- 1日3食共同
- 掃除や食事の準備・片付けの当番制度もある
共同生活を通じて、対話力や自立心を育てる構造になっています。
③ 多様なコース
学校ごとに専門分野が異なります。
- アート
- デザイン
- 音楽
- スポーツ
- サステナビリティ
- 国際理解
- 写真・映像 など
英語コースを設置している学校では、世界各国から学生が集まります。もちろん学校によっては英語のサポートなしで完全にデンマーク語の場合もあります。
学校によってはインターナショナルな生徒の受け入れ自体はしていても、英語サポートがされる授業が限られていて、学校のホームページに載っていた授業はデンマーク語話者限定のような場合もあるので、学校を決める際はホームページの内容だけではなくお問い合わせをして本当に自分が興味を持っている授業を受ける資格があるかどうか確認することをおすすめします。
フォルケホイスコーレの対象年齢
基本的に17.5歳以上が対象です。
多い年齢層は、
- 18〜22歳(ギャップイヤー世代)
- 20代前半
- 20代後半〜30代
デンマーク人の若者が大学進学前に通うことも一般的です。
留学生は20代中心ですが、年齢上限は基本的にありません。30代以上の方もいる場合もあります。年齢を気にして輪に入らないなど決めずに一緒に楽しむ環境として捉えると良いと思います。
男女比
かなり女性が多い印象でした。筆者が通った学校の先生にもヒアリングしたところ、日本からの生徒は8割くらいが女性だと思う(肌感)と言っていたので私自身も驚きました。
北欧自体が女性から人気だからか、キャリアを止めやすいのか…不思議に思っています。
ただ、環境を変えたい、新しいことに調整したいなど前向きな理由で来る方も多く。男性の方も悩んでいる方がいたら心配せずに挑戦して欲しいと思いました。
フォルケホイスコーレの期間
一般的な滞在期間は:
- 3ヶ月
- 半年
多くの学校は半年コースが中心ですが、短期コースを実施している学校もあります。インターナショナルを受け入れている学校でも短期コースの多くはデンマーク語のみで開催されていることが多いようです。
3ヶ月以上でないと政府からのサポートが受けれないということもあるそうで基本的には上記のような期間になっています。学校と交渉をする必要はありますが、1年間学生として受け入れてくれる学校もあるので、期間的に他の留学に比べて短いから候補から外そうかなと考えている方は一度交渉してみるのが良いと思います。
ただ、2校を半年ずつ通った方が良いと筆者は感じます。
理由としては学校によって各セメスターで同じようなアクティビティを繰り返していることが多かったり、新しい環境に身を置くことによって新たな視点でフォルケホイスコーレの生活を見ることができるのも大きな違いです。
フォルケホイスコーレの1日の流れが気になる方はこちらも合わせてご覧ください
フォルケホイスコーレの歴史とグルントヴィー思想
フォルケホイスコーレを生んだ人物
フォルケホイスコーレの思想的基盤を築いたのが、N.F.S.グルントヴィー(1783–1872)です。
彼は19世紀デンマークの牧師・思想家で、当時の「試験中心・エリート中心」の教育制度に疑問を抱きました。
フォルケホイスコーレに通っている生徒でも彼のことを知らない人も多く、学校によっては肖像画が飾ってあることもあります。
グルントヴィーの教育思想
彼の考えの中心にあったのは、
- 教育は一部の特権ではなく、すべての人のもの
- 試験よりも対話が重要
- 人格形成こそ教育の目的
という理念です。
この思想から生まれたのが、試験のない民衆のための学校=フォルケホイスコーレでした。
日本で例えるなら?
日本で例えられることがあるのが福沢諭吉です。
どちらも近代教育の基盤を作った思想家ですが、
- 福沢諭吉:実学と近代化を重視
- グルントヴィー:人格形成と対話を重視
という違いがあります。
この違いが、フォルケホイスコーレの「試験のない教育」に反映されています。
現代デンマークへの影響
グルントヴィー思想は現在のデンマーク社会にも影響を与えています。
- 生涯学習の文化
- 民主主義教育
- 国家が教育に投資する姿勢
- 対話を重視する社会風土
フォルケホイスコーレは単なる留学先ではなく、デンマーク教育哲学の象徴とも言えます。
フォルケホイスコーレの費用
半年で約90〜130万円が目安
学費(寮・食事込み)は、
- 半年:約90〜130万円
- 3ヶ月:約60〜80万円
が一般的なレンジです。
※部屋タイプ・スクールトリップ・為替レートで変動します。
詳しい費用内訳は別記事で解説しています。
フォルケホイスコーレのメリット
① 成績に縛られない
評価ではなく、経験重視の学びの場があります。コミュニケーションを取り合って授業に参加していく参加型授業が中心のため日本の教育機関で一方的に先生や講師が教えていく環境とは違います。
② 国際的な環境
世界中の学生と出会えます。学生の半分はデンマーク人でないとインターナショナル生徒は受け入れられないルールがあるため、確実にデンマーク人がいる環境です。
ただ、インターナショナル生徒の中の国の比率を調整するのは学校次第と聞いているため、日本人が比較的多い学校が増えていると聞いています。
学校に行くとなぜ日本人はフォルケホイスコーレを知っていて、どうしてこんなに来るのか尋ねられることがあると思います。
③ 共同生活による成長
- 自立心
- 他者理解
- 対話力
- 生活スキル
が自然に育まれる環境です。
学校のアクティビティで先生が大量の自分の靴下を家から持ってきてペアの靴下を探し、一番多くのペア靴下を畳めたチームが優勝などライフスキルを楽しみながら学べる環境もあります。
共同の洗濯機や乾燥機の利用方法ルールを生徒で決めたり、洗濯の予約をしていたのに前に洗濯した人が取りにきていなくて困ったので勝手に洗濯カゴに入れて良いルールを決めましょうなど生徒一人ひとりが提案して解決していく環境です。
もちろん皆さんが参加するセメスターによって雰囲気やルールは大幅に変わります。そのため通う予定の学校に学校に過去通っていた人の記事などを探している人も多いと思いますが、その方が体験したセメスターと同じ経験はできないと思った方が良いです。
むしろその時の皆さんの行動によって新しい環境が出来上がっていきます。
フォルケホイスコーレのデメリット
① 学位・資格は取得できない
キャリアに直接結びつく資格等はありません。
② 費用は安くない
半年で約100万円前後。円安が進むこのご時世では慎重な検討が必要です。
③ 英語力が必要な場合がある
英語コースでは最低限のコミュニケーション力が求められます。英語を勉強するために学校に行くのではなく英語で何を学びたいかをクリアにしていきましょう。
英語力について知りたい方は下記の記事も一緒にご覧ください。
フォルケホイスコーレはどんな人に向いている?
- 将来の選択肢・可能性を広げたい大学生
- 一度立ち止まりたい社会人
- 海外生活を経験したい人
- 対話を通じて成長したい人
資格よりも「経験」に価値を置く人に向いています。
夢ような学校と思わず現実的にどんなメリット・デメリットがあるか気になる方は下記の記事もあ合わせてご覧ください。
まとめ
フォルケホイスコーレとは、
- デンマーク発祥の成人教育機関
- 試験なし
- 寮生活中心
- 半年約100万円前後
- グルントヴィー思想に基づく教育
日本にはない教育スタイルです。
まずは仕組みを理解し、その上で期間や費用を検討して見てください。
この記事を通してフォルケホイスコーレに行ってみたいと思っている方の不安や課題などのサポートにつながり、より良い選択をできるよう願っています。







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