一時帰国の免税が2026年11月から変わります|対象になる3つの条件と5つの変更点

一時帰国の免税が2026年11月から変わります|海外在住者が押さえる5つの変更点

海外に住んでいると、一時帰国のたびに「日本で買い物をするなら免税が使えるのか」が気になります。日本国籍でも、条件を満たす非居住者であれば免税の対象になる仕組みがあるからです。

その消費税免税制度が、2026年11月1日から大きく変わります。名前は「リファンド方式」です。あわせて、日本国籍の非居住者が使える証明書類にも変更が入ります。この記事では、デンマークをはじめ海外に住んでいる日本人が一時帰国するときに押さえておきたいことを、観光庁・国税庁・出入国在留管理庁の公式情報をもとに整理します。

制度の内容は変更される可能性があります。実際に手続きをする前には、必ず観光庁や国税庁の最新情報を確認してください。

一時帰国で免税を使える人の3つの条件

先に、いちばん分かりにくいところをはっきりさせておきます。日本国籍を持つ人が免税購入の対象になるには、次の3つをすべて満たす必要があります。

  • 日本の非居住者であること(住民票を抜いて海外に住んでいること)
  • 国外に引き続き2年以上、住所または居所があること
  • 今回の一時帰国から6か月未満であること

見落としやすいのが「一時帰国後6か月未満」です

3つ目の条件はあまり知られていません。言い方を変えると、日本に入国してから6か月以上たつと免税は使えなくなります。制度上、そこから先は非居住者として扱われなくなるためです。

たとえば12月1日に一時帰国した場合、翌年5月31日までに買い物をすれば免税の対象になります。6月1日以降もまだ日本に滞在している場合は、同じ人でも対象外です。

数週間から数か月の帰省であれば気にする必要はありません。引っかかるのは、半年を超える長期の一時帰国をする場合だけです。

2つの条件は向きが逆になるので、混同しないようにしてください。海外にいた期間は長いほどよく(2年以上)、日本にいる期間は短いほどよい(6か月未満)という関係です。

2年の起点は「住民票を抜いた日」です

2年の起点は、旅行の回数でも、最後に日本を出た日でもありません。日本の市区町村に国外転出届を出したとき(国外転出予定日・国外定住日)が起点になります。書類ごとに次の欄が該当します。

  • マイナンバーカード: 「国外転出予定日」
  • 在留証明: 「この場所に住所を定めた日」
  • 戸籍の附票の写し: 「海外に住所を定めた日」または「出国予定日」

終点は最終入国日、つまりパスポートに押される「上陸年月日」です。今回の一時帰国で日本に入国した日のことを指します。

観光庁の資料には具体例が載っています。2026年12月3日に入国した方が在留証明を使う場合、国外定住日が2024年12月3日より前であることを確認します。

あわせて、証明書類に書かれた現住所が国外であることも確認されます。マイナンバーカードの場合は、国外転出のままで国内への転居の記載がないことが条件です。途中で日本に住民票を戻していると「引き続き2年以上」に当たらなくなります。逆に言えば、住民票を海外に置いたままであれば、その間に何度一時帰国していても2年のカウントがリセットされることはありません。

逆に言えば、住民票を日本に残したまま海外で暮らしている人は、この免税の対象になりません。海外転出の届出をしているかどうかが分かれ目です。

リファンド方式とは?免税の受け方が根本から変わります

これまでの免税は、免税店のレジで最初から税抜価格で買える仕組みでした。2026年11月1日の購入分からは、この流れが逆になります。

  • 免税店では、いったん税込価格(消費税を払った金額)で購入します
  • 購入日から90日以内に出国し、空港や港で税関の確認を受けます
  • 持ち出しが確認された後で、免税店または委託を受けた事業者から消費税相当額が返金されます

つまり「買うときに安くなる」から「あとで戻ってくる」への変更です。90日は購入日の翌日から数えるので、たとえば11月1日に購入した場合は翌年1月30日までが期限になります。

返金の方法は法律で決められておらず、銀行振込、クレジットカードへの返金、アプリ送金、出国港での現金返金などが想定されています。店舗によって違うので、購入時に確認しておくと安心です。

なお、空港の制限エリア内(出国審査を通った後)にある免税店は、これまでどおり税抜価格での購入です。

証明書類にマイナンバーカードが加わります

これまでは在留証明または戸籍の附票の写しが必要でしたが、2026年11月1日からは、これらに加えて国外転出者向けマイナンバーカードが使えるようになります。スマートフォンに搭載したマイナンバーカードも対象です。

  • マイナンバーカードは原本の提示が必要で、コピーでは確認してもらえません
  • 国外に転出した旨の記載があるものに限られます
  • スマートフォン版の場合、デジタル庁が提供する「マイナンバーカード対面確認アプリ」で内容を確認する形になります
  • 在留証明には、電磁的記録で提供されるもの(e-証明書)やそれを紙に印刷したものも含まれます

また、これらの書類に本籍(地番を含む)を記載する必要がなくなります。従来は購入記録に在外公館の名称や発給日、本籍、発給番号まで登録されていましたが、今後は「証明書の種類」と「国外転出日」の2項目だけになります。プライバシーの面でも負担が減る変更です。

書類の有効性は別途チェックされます

2年の判定とは別に、提示する書類そのものが有効かどうかも確認されます。ここは今回の改正でも変わっていないので注意してください。

  • 在留証明と戸籍の附票の写し: 作成日が最終入国日から起算して6か月前の日以後であること。帰国のかなり前に取得した古い書類は使えません
  • マイナンバーカード: 有効期限の範囲内であること

先ほどの観光庁の例でいえば、2026年12月3日に入国した方の場合、在留証明の作成日は2026年6月3日以後である必要があります。

マイナンバーカードには作成日の制限がないため、定期的に一時帰国する人にとっては、こちらを持っておくほうが毎回の手間が減ることになります。

マイナンバーカードを持っていない場合はどうする?

まず確認したいのが、国外転出のときに継続利用の手続きをしたかどうかです。2024年5月27日以降、国外転出届を出すときにマイナンバーカードを持参して手続きをすれば、そのまま国外でも使い続けられます。この手続きをしていれば、新しく作る必要はありません。

手続きをしないまま転出した場合、カードは国外転出予定日に失効しています。その場合や、そもそもカードを作っていない場合は、海外から新規に申請できます。

  • 対象は、2015年10月5日以降に国外転出していて、マイナンバーカードを持っていない方です
  • 申請は「国外転出者向け個人番号カードオンライン申請サイト」からオンラインで行います
  • 発行までは2〜3か月ほどかかります。国によって郵便事情が異なるため、さらにかかる場合もあります
  • 受け取りは対面のみで、代理人は不可です。居住国の在外公館(大使館・領事館)か、日本の市区町村の窓口で本人が受け取ります
  • 在外公館で受け取る場合は、有効なパスポートに加えて、氏名と生年月日が分かる書類が1点必要です

発行に2〜3か月かかるので、一時帰国の予定が決まってから、ギリギリで動くと間に合わない可能性があります。次の帰国までに余裕がある方は早めに検討しておくとよさそうです。

なお、2015年10月5日より前に国外転出した方は、この新規交付の案内の対象に含まれていません。従来どおり在留証明または戸籍の附票の写しを使うことになるので、詳しくは本籍地の市区町村に確認してください。

【最重要】自動化ゲートを使うと帰国証印が押されません

ここがいちばん注意したいポイントです。帰国時に自動化ゲートや顔認証ゲートを使うと、パスポートに帰国の証印(スタンプ)が押されません。免税店では最終入国日をこの証印で確認するため、証印がないと免税購入対象者であることを確認できず、免税を受けられません。

筆者が2025年12月に日本へ帰国したときも、入国審査の手前で「自動化ゲートを使う場合はスタンプはもらえません」という案内がはっきり出ていました。一方で有人の窓口はほとんど開いておらず、長い列ができている状態で、自動化ゲートなら一瞬で通れますという誘導がされていました。時間の面では自動化ゲートが圧倒的に楽なので、何も考えずに進んでしまう人は多いと思います。

ゲートを通ってしまっても取り返せます

出入国在留管理庁の案内によると、免税店を利用する場合は、自動化ゲートを通過した後でも、税関検査前までに各審査場事務室の職員に証印が必要な旨を申し出れば押してもらえます。ゲート後方に待機している職員に声をかける方法もあります。

つまり、うっかりゲートを通ってしまっても、空港を出る前なら間に合います。とはいえ、荷物の受け取りや税関を抜ける流れの中で戻るのは手間なので、一時帰国中に免税で買い物をする予定があるなら、ゲートを通る前に「免税を使うので証印が必要です」と伝えておくのがいちばん確実です。

免税の対象になる買い物の条件

2026年11月1日以降の条件は次のとおりです。

  • 同じ店舗での1日の購入額が税抜5,000円以上であること
  • 購入した物品を国外に持ち出すこと
  • 金や白金の地金など、対象外の物品があること
  • 出国時に自分で所持して持ち出せる数量に限られること

うれしい変更として、化粧品や食品など消耗品の特殊包装(開封できない袋に入れられるあれです)が廃止されます。ただし、包装がなくなっても国内で使ったり食べたりしてしまうと返金は受けられません。

出国当日の流れと時間の余裕

返金を受けるには、出国時の税関確認が必須です。流れは次のようになります。

  • 空港や港の国際線出発ロビーにある免税手続用の端末にパスポートを提示します
  • 画面に検査の要否が表示されます。検査不要(グリーン判定)ならここで終了です
  • 検査が必要(レッド判定)なら、税関の検査場所で物品の持ち出し確認を受けます

成田、羽田、関西、中部、福岡、新千歳、那覇の各空港では、Visit Japan Webを使って国際線出発ロビーの専用エリア内でオンライン手続きもできます。

荷物を預ける前に手続きを済ませてください

手続きのときには、購入した免税対象物品をすべて手元に持っている必要があります。手荷物を預けた後では手続きできませんし、免税手続きを理由に預けた荷物を引き戻すこともできません。

さらに厳しいのが、税関確認はレシート単位で行われるという点です。1回の購入のうち1つでも手元にない物品があると、そのレシートに含まれる物品すべてが返金対象外になります。

搭乗手続きまでに確認を終える必要があり、間に合わなかった場合の補償はありません。免税で買い物をした帰国便では、いつもより早めに空港へ向かうくらいの余裕を見ておくのが安全です。

まとめ: 一時帰国前に準備しておきたいこと

2026年11月1日からのリファンド方式で、一時帰国中の免税は「あとから返金される」形に変わります。対象になるのは、住民票を抜いた日から今回の帰国日まで2年以上が経っていて、かつ今回の入国から6か月未満の非居住者です。証明書類にマイナンバーカードが加わり、本籍の記載も不要になるなど、使いやすくなる変更が多い改正でもあります。

準備の面でいちばん大事なのは、入国時に帰国証印をもらうことです。自動化ゲートを通るとスタンプが押されず、そのままでは免税を受けられません。ゲートを通る前にひと言伝えておけば済む話なので、一時帰国の予定が決まったら、証明書類の準備と入国時のゲートの通り方をセットで考えておくと安心です。

デンマークを離れる前の手続きはデンマーク帰国前にやることまとめ、入国まわりの最新事情はEESで何が変わった?コペンハーゲン入国の完全ガイドでまとめています。日本から持ち帰りたいものについてはデンマークに持って行ってよかったものもあわせてどうぞ。