
コペンハーゲンの街を歩いていたら、あちこちにカラフルな風船やのぼりが飾られていて、街全体がデザイン一色に染まっている。そんな体験ができるイベントが、毎年6月に開催される「3 days of design(スリーデイズオブデザイン)」です。
デンマーク・コペンハーゲンで毎年開催されるこのイベントは、北欧最大規模のデザインフェスティバルとして世界中から注目を集めています。インテリアや家具、北欧デザインに興味がある方はもちろん、コペンハーゲン観光を計画している方にも、ぜひ知ってほしいイベントです。
この記事では、2025年に実際に「3 days of design」へ参加してみた体験をもとに、イベントの基本情報から現地レポート、参加する際の実用的なポイントまでを詳しくお伝えします。
2026年の開催情報もあわせてご紹介します。
3 days of designとは?
「3 days of design」は、毎年6月にデンマークのコペンハーゲンで開催される、北欧最大規模のデザインフェスティバルです。デンマークの公式デザインフェスティバルとして位置づけられており、家具・照明・インテリアデザイン・プロダクトデザインを中心に、コペンハーゲン市内のさまざまな場所でイベントが同時多発的に展開されます。
最大の特徴は、街全体が会場になるというスタイルです。日本のデザインイベントといえば、東京国際フォーラムのような大きな会場を貸し切って開催するスタイルが多いですが、「3 days of design」はまったく異なります。市内のショールームやギャラリー、ブランドショップ、歴史的な建築物、コペンハーゲン各地にある空間がそれぞれ会場になります。
イベントの歴史と規模
「3 days of design」が誕生したのは2013年のこと。ノアハウン(Nordhavn)という港湾エリアの古い倉庫を会場に、Montana、Erik Jørgensen(現在はFredericia Furniture傘下)、Anker & Co、Kvadratという4つのデンマークブランドが共同で立ち上げた小さなイベントがはじまりです。当時のコペンハーゲンには、ベラセンターで毎年開催されていた家具見本市が閉幕した後、デザイン専門のイベントが存在していませんでした。
それから12年。2025年の開催では、460以上のブランドが出展し、6万人以上の来場者が600以上のイベントから自由に参加を選べるという、スカンジナビア・北欧地域で最も重要なデザインフェスティバルへと成長しました。
2026年は第13回目の開催となるそうです。コロナのタイミングではどうだったのだろうと思いますが、今はとてもオープンな雰囲気で開催されています。
2026年の開催情報
- 開催日程: 2026年6月10日(水)〜12日(金)
- 開催場所: デンマーク・コペンハーゲン市内各所
- 入場料: 基本的に無料(一部イベントは事前予約が必要)
- テーマ:Make This Moment Matter
- 公式サイト: 3daysofdesign.dk
- 公式アプリ: iOS・Android対応(インタラクティブマップ搭載)
どんなイベントが開催される?
「3 days of design」では、展示・インスタレーション・トーク・ワークショップ・プロダクトローンチ・ネットワーキングイベントなど、多彩な企画が用意されています。デザイン業界のプロフェッショナルをメインターゲットとしながらも、一般の来場者にも広く開放されているのが大きな特徴です。展示はすべて無料入場が基本で、ふらっと立ち寄るだけでも十分楽しめます。
テーマは毎年設定されており、2025年のテーマは「Keep it Real」でした。コペンハーゲンのサステナブルでオープンマインドな都市文化を体現するテーマで、各ブランドがそれぞれの解釈でインスタレーションや展示を展開しました。2026年は「Make This Moment Matter」となっています。
デンマークといえば、Yチェアをはじめとする世界的に有名な椅子が生まれた北欧家具の本場。このイベントでも家具関連の展示が特に充実しており、現地でしか見られない新作や、デザイナー本人と直接話せる機会もあります。インテリアや空間デザインが好きな方にとっては、夢のような3日間です。
Walk With Usという参加型ツアーも事前予約をして参加できるので公式ページを要確認です。
2025年参加レポート:コペンハーゲンの街でデザインに出会う

まず公式アプリを入れておこう
2025年の開催時には、公式アプリが配信されていました。アプリをダウンロードするとインタラクティブなマップが表示され、市内のどこでどんなイベントが開催されているかが一目でわかります。イベントの数は非常に多く、事前に予約が必要なワークショップ型の企画もあるため、参加を予定している方は早めにアプリをダウンロードして、気になるイベントをチェックしておくことをおすすめします。
正直に言うと、私は予約が必要なイベントがあることを事前に知らなかったため、当日でも参加できる場所を4か所ほど回りました。それでも十分すぎるくらい楽しめましたが、本気で回ろうとするなら事前準備は必須です。
訪れた展示①:mater(マテール)

ストロイエ——北欧で最も長い歩行者天国として知られる、コペンハーゲン随一の繁華街——の近く、コペンハーゲン中央駅からも徒歩圏内の好立地に展示を構えていたのが、デンマークのデザインブランド「mater(マテール)」です。
materとはどんなブランド?
2006年にコペンハーゲンで創業したmaterは、サステナビリティをブランドの核に据えた先駆的なデザインブランドです。ブランド名の「mater」はラテン語で「母(=地球)」を意味し、地球への貢献という姿勢を日々の活動の軸に置いています。
スカンジナビアン・ミニマリズムを美学の基盤としながら、FSC認証木材・リサイクル金属・海洋廃棄物(回収された漁網など)といったサステナブルな素材のみを使用して家具を制作しています。廃棄される前に回収した木材を活用したり、海洋プラスチック廃棄物をペレット化して椅子の素材に転用したりと、デザインの美しさと環境への配慮が高いレベルで両立されているブランドです。
実際に訪れてみて
展示空間自体も非常に洗練されていました。白いギャラリーに椅子や照明が丁寧にディスプレイされていて、見ているだけで心が落ち着くような雰囲気。事前予約なしでもすんなり入れたので、気軽に立ち寄れる展示です。アクセスが良いこともあり、多くの方の目に留まる場所にあったと思います。インテリアやサステナブルデザインに関心がある方には、特におすすめのスポットです。
訪れた展示②:Iteration(イテレーション)|椅子のデッサン体験イベント

もう一つ、特に印象深かったのが「Iteration」というワークショップ型のイベントです。デザインが好きな友人と一緒に参加しました。
会場の雰囲気
会場はコペンハーゲン中央駅からバスで20〜25分ほど離れた場所にある、歴史を感じさせるレンガ造りの建物でした。入口には「ITERATION」と書かれた手書き風の看板と、3 days of designのトレードマークである風船が飾られていて、すぐにそれとわかります。
中に入ると、白い壁に大きなアーチ窓から光が差し込む美しい空間が広がっていました。
ワインやチーズ、フルーツなどが用意されていて、自由に取りながら参加できます。バインダーと大きめの紙、チャコールや色鉛筆など好きな画材を選んで、思い思いの場所に座る。それだけで準備完了です。
イベントの内容

このイベントは、デンマークの著名なインテリアデザイナーが手がけた椅子を被写体にしたデッサン体験です。「30秒で描く」「3分間、紙から目を離さずに描く」「鉛筆を一度も紙から離さずに描き続ける」など、さまざまなお題が次々と出されます。絵の上手さは一切関係なく、「描く」という体験を通じてデザインと向き合うことが目的のイベントです。
30分ほどのセッションが終わると、参加者みんなが描いた作品を床に並べて、それぞれの視点や表現の違いを眺めるという時間がありました。評価や批評は一切なし。いろんな人の視点があって面白いね、という温かい空気で締めくくられました。
参加してみた感想
参加者の多くは地元の方やデザイン系の仕事をしている方が多い印象でしたが、一人で参加している方もたくさんいて、堅苦しさは皆無。ワインを片手にデッサンしている方もいて、とてもゆるやかな雰囲気でした。
友人と一緒に参加して良かったと思った点は、初めて参加するイベントへの不安が和らいだこと。正直、どんな雰囲気かわからなくて少しドキドキしながら入ったのですが、想像以上にフランクで開かれた空間でした。その後は一人でも積極的に色々な展示に立ち寄るようになりました。
しかもこのイベント、参加は無料です。3 days of designでは、こうした無料参加できるイベントが数多く用意されているので、デザイン初心者の方でも安心して楽しめます。
コペンハーゲンとデザインの深い関係
デンマークは、世界的に見ても家具デザインの本場として知られています。Yチェアをはじめ、世界中で愛される名作椅子が数多く生まれた国です。「3 days of design」を通じて感じたのは、デンマークの人々にとってデザインが特別なものではなく、日常の延長線上にあるということ。
街のいたるところに3 days of designの風船やサインが飾られていて、普通に観光しているだけでも自然とデザインと出会えます。日本のデザインイベントはどちらかというと業界関係者向けのイメージがありますが、「3 days of design」はデザイナーだけが集まるものではありません。誰でも、どんな目的でも、気軽に立ち寄れる。体験型のイベントもあれば、美術館のように静かに作品を眺める展示もある。「デザインをもっと多くの人に届けたい」というイベント全体の姿勢が、街の空気感としてにじみ出ていました。
また、コペンハーゲンという街自体がコンパクトで移動しやすく、デザインブランドのショールームやギャラリーが市内各地に点在しているという地の利もあります。街全体がデザインの文脈で語られる都市だからこそ、「3 days of design」というフォーマットが成立しているのだと感じました。
参加する際の実用的なポイント
事前にやっておくこと
- 公式アプリをダウンロードする:インタラクティブマップで会場の場所・イベント内容が一目でわかります
- 公式Instagramをフォローする:気になるイベントやブランドを事前にチェックできます
- 予約が必要なイベントを早めに確認する:ワークショップなど人気イベントは早々に埋まります
- 行きたい会場をいくつかピックアップしておく:イベント数が膨大なので、ある程度絞っておくとスムーズです
当日の回り方
- 自転車があると便利:コペンハーゲンは自転車文化が根付いており、会場間の移動がとてもスムーズです
- 公共交通機関でも十分:バス・地下鉄・ボートなど交通網が充実しており、徒歩でも回れる距離感の会場も多いです
- ゆったりしたスケジュールがおすすめ:ふらっと気になる展示に立ち寄ったり、街歩き自体を楽しむ余裕を持つのがコペンハーゲンらしい楽しみ方です
- 英語で問題なし:展示スペースのスタッフもイベント内も英語対応が充実しています。言語面で困ることはほとんどありません
こんな方におすすめ
- 家具・照明・インテリアデザインが好きな方
- デンマーク・北欧デザインに興味がある方
- その時期にたまたまコペンハーゲンにいる方(デザイナーでなくても全く問題なし!)
- 一人旅でも、友人との旅でも楽しめます
- コペンハーゲン観光と組み合わせたい方
「デザインイベントなんて私には関係ない」と思わず、ぜひ気軽に足を運んでみてください。街の至るところに3 days of designのサインが出現するので、散歩しながらふらっと立ち寄るだけでも十分楽しめます。その場にいるデザイナーや出展者から直接話を聞いたり、その場で購入できる作品と出会ったりと、思わぬ発見があるはずです。
まとめ:街ごとデザインに染まる、コペンハーゲン3日間
「3 days of design」は、コペンハーゲンという街の魅力とデザインの世界が重なり合う、特別な3日間です。ガチガチにスケジュールを組まなくても、街を歩いているだけで自然とデザインと出会える。そんな敷居の低さが、このイベントの最大の魅力だと感じました。
2026年の開催は6月10日〜12日。コペンハーゲン旅行を計画している方は、ぜひこの時期に合わせてスケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。公式サイトや公式Instagramを事前にチェックして、気になるイベントを見つけておくことをおすすめします。
街のあちこちに飾られた風船を目印に、気になる場所にふらっと立ち寄るだけでも、きっと新しい発見があるはずです。


