
デンマークでアパートを探したことがある人なら、きっと共感してもらえると思います。「難しい」なんてものじゃない、と感じた人も多いはずです。
日本でスーモやHOMESを使って部屋を探した経験がある人は、同じ感覚でデンマークに挑もうとすると最初に大きな壁にぶつかります。私自身もそうでした。この記事では、実際にコペンハーゲンで賃貸を経験した立場から、賃貸事情・家賃相場・探し方・契約の流れまで、知っておいてほしいことを全部まとめました。
デンマークの賃貸事情:そもそもなぜこんなに難しいのか
賃貸専用の物件がそもそも少ない
まず大前提として知っておいてほしいのが、デンマークには「賃貸専用」として建てられた物件がほとんどないということです。日本のように、最初から人に貸すことを目的として建てられたアパートやマンションは非常に少ないです。多くの場合、オーナーが自分の家や部屋を一時的に貸し出しているケースがほとんどです。
競争率がとにかく高い
コペンハーゲン、オーフス、オルボー、オーデンセといった主要都市では、みんなが同じタイミングで物件を探しているから、一つの部屋に50人近くから連絡が来ることも普通にあります。「返信が来ない」のが当たり前の世界です。
コペンハーゲンへのアクセスがよくて少し離れたロスキレも、通勤・通学しやすいエリアとして人気が高いです。都市部に固執しすぎず、周辺エリアも視野に入れて探すのがおすすめです。
賃貸情報が一元化されていない
日本のスーモのような、賃貸情報を一元化したサービスがデンマークには存在しません。賃貸アプリもいくつかあるにはありますが、使い勝手がいいかというと…正直そうでもないというのが私の感想です。
コペンハーゲンのルームシェア家賃相場(2025〜2026年)
目安は5,000 DKK前後
2025〜2026年時点でFacebookグループを眺めていると、ルームシェアや一室貸しで5,000 DKK前後が一つの目安になっている印象です。
- 激安物件:3,000〜4,000 DKK(清潔感や設備面でのトレードオフあり)
- 一般的な相場:5,000 DKK前後
- 駅アクセス良好な物件:7,000 DKK〜になることも
個人的に、ある程度きれいな環境で暮らしたいと思うと、5,000 DKKくらいが現実的なラインだと感じました。建物が古いのは全然かまわないですが、最低限の清潔感は確保したいところです。東京で一人暮らしをしていた経験もあって、掃除はわりとする方なので、そのあたりは自分の基準として持っておきました。
ちなみに1 DKK = 約25円(2026年現在)なので、5,000 DKKは日本円でおよそ12万5,000円です。日本で一人暮らしをしている感覚からすると、光熱費込みでこの金額なら悪くないと思えるのではないかと思います。
ちなみにアパートを借りるとなると、地域によりますが、20,000DKKくらいでイメージしていると良いと思います。
光熱費・WiFiについて
光熱費は家賃に含まれているケースが多いです。ただしWiFiだけ月250 DKK程度を別途請求されるパターンもあるので、募集要項で必ず確認が必要です。
2人入居という選択肢も
2人入居可の物件を友達同士で借りれば、一人あたりのコストをぐっと抑えられます。実際にそういうペアで探している人もFacebookグループでよく見かけました。
郊外・近郊エリアも要チェック
コペンハーゲン郊外のSトレイン沿線エリアは、アクセスがよいわりに家賃が抑えめの物件が見つかりやすいです。デンマークは自転車文化が根付いているから、「駅まで自転車、そこから電車で次電車と一緒に乗る」という生活スタイルが普通に成り立ちます。郊外でも自転車で20〜30分漕げばコペンハーゲンの中心部まで行けるエリアも多いので、積極的に探してみてほしいと思います。
アパートを探す主な方法
Facebookグループがとにかく最強
実際に現地でアパートを見つけた人の話を聞いていると、ほぼ全員がFacebookグループを使っていました。コペンハーゲン、オーフスなど都市ごとに「部屋を貸したい・借りたい」専用のグループが複数存在していて、毎日新しい物件情報が投稿されています。
情報の鮮度が高いのが最大の強みで、賃貸サイトよりも早く物件が出回る印象です。投稿がデンマーク語だけのことも多いですが、気にせず英語で連絡してOKです。私もがんがん英語でメッセージを送っていました。
ただし、Facebookには審査がないので詐欺案件が混ざっていることもあります。内見に行って実際に確認することが大前提です。内見に行って詐欺にあったという話はあまり聞かないので、怪しいと思ったらとりあえず内見に行ってみるという姿勢で大丈夫だと思います。
私が過去に利用していた。コペンハーゲンのグループを貼っておきます。
- https://www.facebook.com/groups/371492394231347
- https://www.facebook.com/groups/roomsrentcopenhagen
- https://www.facebook.com/groups/166820836821223
BoligPortalなどの賃貸サイト
デンマーク最大の賃貸プラットフォーム「BoligPortal」も一応チェックしておきたいサイトです。ただし、有料会員にならないと詳細情報が見られないケースもあります。Facebookと並行して使うのがおすすめです。
人脈・知人のツテが実は最強
フォルケホイスコーレなどでデンマーク人の友人や知人ができている場合、そのツテが想像以上に強力に働きます。
私の友人の一人は、長いことアパートが見つからなくて本当に困っていました。そこでデンマーク人の友人にお願いして、Facebookグループに「この日本人の友達がアパートを探しているので、もし興味がある方はご連絡ください」と投稿してもらったところ、驚くほど安い家賃で、立地もよくて広いお庭まである素敵なお家に住めることになりました。自分一人で探していたら絶対出会えなかっただろうな、という物件でした。
フォルケホイスコーレのつながりを活かす
もう一つ特に有効なツテが、フォルケホイスコーレのつながりです。前のセメスターにその学校にいた人がコペンハーゲンやオーフスに住んでいて、もうすぐ帰国するというタイミングで連絡を取れると、大家さんへの引き継ぎという形で入居できることがあります。物件が市場に出る前に話が進むから、競争なしで部屋が確保できる可能性もあります。帰国予定の知り合いがいたら、早めにそっと連絡を入れておくのはとてもいい手だと思います。
申し込みから契約までの流れ
私自身が実際に経験した流れをご紹介します。
① 問い合わせ:とにかくスピードが命
Facebookでいい物件を見つけたら、即座にメッセージを送ります。物件情報が出た瞬間に何十件もメッセージが届くので、返信が来ないのが当たり前です。気にせずたくさん送ることが大切です。
② 内見の調整:自己アピールも忘れずに
返信が来たら、すぐに内見の日程を取り付けます。
- 「すぐ住めます」
- 「掃除が好きです」
- 「丁寧に使います」
こういった自己アピールを添えると印象がよくなります。最近はビデオ通話での内見も主流になっているので、日本からでも物件探しを進めることができます。
③ 内見当日:細かいところまで確認を
部屋の雰囲気だけでなく、以下のポイントも自分の目で確かめることをおすすめします。
- 水回りやトイレの清潔感
- 共用部の雰囲気
- 駅からの実際の距離感
- 建物全体の状態
私は海外で賃貸を借りるときは必ず内見に行くと決めていました。時間的にかなりギリギリでしたが、アポを取って実際に足を運んで、部屋の使い方や注意点まで隅々確認しました。それをやっておいてよかったと今でも思っています。
④ 申し込み・選考
住みたい意思を明確に伝えると、オーナーが複数の候補者から選ぶ形になります。私の場合はしばらく「少しお待ちください」と言われた後、「あなたにお貸しします」という連絡が来ました。
⑤ 契約書の確認
禁止事項、設備の扱い、退去時の条件など、細かいところまで必ず目を通すことが大切です。
⑥ 初回支払い
デポジット+返還される保証金+初月家賃をまとめて支払うことが多いです。基本的にはデンマークの銀行口座への振込になります。
ちなみに私の場合はたまたまオーナーが日本に帰国する日本人の方でした。自分が不在の間、植物に水をあげてほしいという条件つきで部屋を貸してくれたのです。こんなラッキーなケースは稀だと思いますが、日本人同士だと話が早くてとてもスムーズでした。
CPRナンバーの登録可否は絶対に確認すること
CPRナンバーとは
CPR番号(Civil Personal Registration)とは、デンマークの個人識別番号で、日本のマイナンバーに相当するものです。3ヶ月以上滞在する場合は住所登録が必要で、その住所に対してCPR番号を登録できるかどうかが物件ごとに決まっています。
CPR登録できないと何が困るのか
CPR番号が登録できないと、デンマークの健康保険証にあたる「イエローカード」が発行されません。イエローカードがないと医療機関を受診できなくなってしまいます。これは本当に困ります。
物件の募集要項には以下のような記載があることが多いので、必ず確認が必要です。
- 「CPR OK」
- 「○名まで登録可」
私自身の経験
私が借りた物件はCPR登録NGでした。もともと2ヶ月だけの滞在予定だったので、フォルケホイスコーレの住所をそのまま使い続けていました。本来はよくないことだとわかっていますが、住む場所がなかったので仕方なかった部分もありました。その後、次のフォルケホイスコーレに入学するタイミングで改めて住所変更と登録をし直しました。
短期滞在なら問題ないケースもありますが、長期的に住む予定があるならCPR登録の可否は物件選びの絶対条件として考えてほしいと思います。
日本との違いで驚いたこと
掲載情報が不正確なことがある
間取り図にないキッチンの写真が掲載されていたり、エレベーターの有無が実際と違ったりするケースがあります。気になることは遠慮なく直接聞いてみるのが一番です。
エレベーターなしの高層建物
4階・5階建てでも階段のみ、という建物が普通にあります。重い荷物を持っての引っ越しは大変なので、事前に確認しておくと安心です。
大型家電は備え付けが基本
冷蔵庫や洗濯機はほとんどの場合はじめからついています。日本のように入居前に家電を一通り揃える必要はあまりありません。
照明が暗い
北欧は間接照明の文化です。日本のような白い蛍光灯でパッと明るい部屋はほぼありません。本を読んだり細かい作業をしたりする人は、手元ランプをひとつ用意しておくと快適に過ごせます。
私は日本に帰国したタイミングで自分の部屋の照明が眩しすぎて驚きました。
シェアアパートは入居者の雰囲気も要チェック
シェアアパートのメリットとリスク
キッチンなどの共用スペースがあって、個室だけ個人で使うシェアアパートはコペンハーゲンでもよく見かけます。コスト面では魅力的ですが、誰と住むかによって快適さが全然変わってきます。
実際にあったトラブル
私の友人は、シェアメイトが他の人の食材を無断で使うというトラブルに巻き込まれました。オーナーに相談しても特に対応してもらえず、最終的には引っ越しを選ぶことになりました。後から聞いた話では、他の住人からもその人への苦情が以前からたくさん来ていたそうです。
住んでみないとわからない部分ではありますが、内見のときに他の入居者について聞けそうなら聞いておくといいかもしれません。こういうこともあると事前に心構えしておくだけで、気持ちの余裕が違うと思います。
まとめ:根気と情報収集で、必ず部屋は見つかります
デンマークのアパート探しは、日本と比べてハードルが高いのは正直なところです。でも、Facebookグループを毎日チェックして、物件が出た瞬間に連絡を入れて、人脈を積極的に使っていけば、必ず部屋は見つかります。
特にフォルケホイスコーレや現地での知人がいる人は、そのつながりを最大限に活かしてほしいと思います。物件探しもデンマーク生活の一部です。焦らず、でも素早く動きながら、自分らしい住まいを見つけてみてください。



